《 SOMPOケアの記者会見|6月2日撮影 》
最新のテクノロジーをフル活用して運営体制のフォーマットを刷新すれば、サービスの質を下げずに介護施設の職員数を減らすこともできるのではないか ? 。
昨年度に行われた国の実証事業の趣旨だ。これに参加したSOMPOケアが今月に入り、得られた成果を報告する記者会見を開いた。【Joint編集部】
現行の3対1の基準を下回る人員配置にオペレーションを変更した結果、個々の職員の負担や利用者の状態にネガティブな影響は出なかったと報告。例えば見守りセンサーやスケジュール管理システム、記録支援ツール、介護助手などを適切に活用できていることを要件として、「3対1の人員配置基準を緩和してもよいのではないか」と持論を展開した。
SOMPOケアはあわせて、多くの介護事業者が胸中に抱えている懸念にも言及した。
人員配置基準が緩和されると介護報酬をセットで引き下げられるのではないか、との声が業界内にあると説明。「これからの介護事業者は、経営努力で業務を効率化して職員の処遇を積極的に上げていくべき。人員配置基準の緩和が報酬の引き下げに直結しないようお願いしたい」と訴えた。
また、新たなテクノロジーの導入に必要な初期投資を念頭に国の補助金などの拡大も求めた。
SOMPOケアの遠藤健代表取締役会長 CEOは会見で、「少子高齢化に伴う深刻な介護人材不足は大きな社会課題。まさに国難だ」と指摘。介護施設の運営体制のフォーマットを刷新し、サービスの質を高めて職員の負担を減らすチャレンジの重要性を強調した。
続けて、「業務の効率化で創出された成果を職場環境や処遇の改善に充当し、介護職員の地位を向上させ、介護を魅力的な職業にしていかなければならない」と語った。
SOMPOケアは今年度から、全国の自社の介護付きホームで実証事業と同様にテクノロジーをフル活用できる環境の整備に着手する。来年度中にも全ての施設で体制を構築したい考えだ。
取材に応じた担当者は、「まずは現場の職員に丁寧に説明し、納得感を得ていくことが極めて重要。教育機会を更に充実させつつ全社展開を進めていく」と話した。
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