《 社保審・介護給付費分科会|2023年5月撮影 》
居宅介護支援をめぐっては、やはり全国各地で顕在化している人手不足が話題の中心となった。事業者や自治体の関係者らが処遇改善を求めたほか、ICTの活用や法定研修の見直しなどで負担の軽減を図るべきとの声もあがった。【Joint編集部】
厚生労働省は24日、来年4月の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会で居宅介護支援を俎上に載せた。
「今後、高齢者人口の更なる増加や現役世代の減少に伴う担い手不足が見込まれる」と説明。ケアマネジメントの質を維持・向上させていくためにどんな手を打つべきか、と投げかけた。
全国社会福祉協議会が運営する「中央福祉人材センター」の調査結果によると、ケアマネジャーの有効求人倍率は直近の今年5月で4.13倍。1人の求職者に4人分の求人が集まっている状況で、人手不足が以前にも増して深刻化してきたと警鐘を鳴らす関係者は多い。
◆「このままだとより疲弊させてしまう」
「介護支援専門員の人材確保が困難になっている。居宅介護支援を処遇改善加算の対象としたり、基本報酬を引き上げたりして事態の改善が進むようにして欲しい」
日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長はそう要請。大分県中津市の奥塚正典市長は、「業務負担が重いため介護支援専門員にならない人もいる。事業所の収支差率など経営状況には改善もみられるが、今後も基本報酬の引き上げ、処遇改善などが必要ではないか」と促した。
また、全国健康保険協会の吉森俊和理事は、「サービスをいかに効率的に提供できるかが課題。テクノロジーの活用は有力な突破口になり得る。それを推進する施策を検討すべき」と提言。大阪府豊中市の長内繁樹市長は、「介護支援専門員の業務は多岐にわたり、期待される役割が更に増えている状況。このまま進んでいくと現場をより疲弊させる懸念がある」と問題を提起した。
このほか、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は、ケアマネの資格を取得・保持するための試験や法定研修に言及した。
「実務研修受講試験(ケアマネ試験)の合格率は2割以下。内容が難しすぎるのではないか。5年間の実務経験も必要など、入り口を閉めすぎているのではないか」と指摘。「資格を取ってからの義務研修も多職種と比べて多すぎる。それに見合った報酬が出ていないから担い手が減っているのではないか」と踏み込んだ。
厚労省は今後、今秋から冬にかけて来年度の改定で講じる具体的な施策を議論していく方針。年内にはその大枠を固める予定だ。
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