《 社保審・介護給付費分科会|2023年8月撮影 》
厚生労働省は来年4月の介護報酬改定に向けて、利用者のリハビリテーション、口腔ケア、栄養管理の推進を図る方策を検討していく。介護現場で個々の取り組みを更に拡げていくための方策、これらを一体的に提供してもらうための方策を、15日に開いた審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で論点として示した。【Joint編集部】
利用者の自立支援・重度化防止につなげる狙いがある。これはサービス横断的なテーマだ。加算の見直し、新設、統廃合などインセンティブがどう変わるか、が大きな焦点となる。
厚労省は会合で、介護現場の調査・研究の結果を紹介しつつ目下の課題や検討の視点を説明した。例えば、
◯ 歯科医療、口腔ケアを必要とする利用者が多い一方で、適切な介入を受けている利用者は少ない
◯ 口腔ケアの充実のためには、歯科医療機関、歯科専門職との連携が重要
◯ 在宅でも施設でも栄養管理を必要とする利用者が多く、きめ細かい対応や多職種連携の強化を実現する体制の整備が必要
◯ リハビリ、口腔ケア、栄養管理を一体的に運用することが、自立支援・重度化防止の効果を更に高める観点から非常に重要
などを指摘。これから議論を深め、10月以降に具体策を提案していく構えをみせた。
意見交換では日本医師会の江澤和彦常任理事が、「リハビリ・機能訓練はそれなりに普及している一方で、口腔、栄養には課題が多い。例えば口腔では、歯科医療機関と介護施設・事業所、介護支援専門員との連携体制の構築が不可欠」と強調。「今後、歯科衛生士や管理栄養士に地域でより一層活躍して頂くことを期待している。医療職や介護職が口腔、栄養への意識を高め、潜在的なニーズへの気付きも増やしていくことが大切。ケアマネジャーがケアプランを策定する際に、そうした意識を高めて頂けるプロセスを導入することも必要」と述べた。
また、日本歯科医師会の野村圭介常務理事は、「ケアマネからの情報提供もまだまだ十分ではない。口腔、栄養の専門職に早めにつなげていく仕組みを検討して欲しい」と要請。日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長は、「在宅サービスなどで管理栄養士を確保するために、併設施設の専従要件を緩和して兼務の幅を拡げることも検討してみてはどうか」と提案した。
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