《 社保審・介護給付費分科会|2023年9月撮影 》
来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている国の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)は2日、関係団体の意見を幅広く聴取するヒアリングの2回目を実施した。【Joint編集部】
介護現場でのテクノロジーの有効活用を推進する「日本ケアテック協会」は、居宅介護支援のケアマネジャーのモニタリングをIoTで効率化していくことを提案した。
例えば、プライバシーに配慮したセンサーなどを用いて利用者の日々の生活状況を把握し、それをアセスメントに役立てることなどを想定。利用者の安心やサービスの質の向上、職員の負担軽減などにつながるとして、こうした取り組みを進める事業所を介護報酬で評価してはどうかとした。
あわせて、IoTの活用がケアマネの居宅訪問と同等の効果があると認められることを前提として、訪問頻度を減らしたり基本報酬の逓減制(*)を更に緩和したりすることも要請。「介護業界でも生産性向上が叫ばれて久しい。より抜本的に取り組んでいかなければ、介護の担い手不足という国家課題への対処はもとより、産業としての国際競争力の強化にももとる」と訴えた。
* 居宅介護支援の逓減性=ケアマネ1人あたりの担当ケースが45件以上になると、基本報酬を段階的に減らしていく仕組み。
日本ケアテック協会の鹿野佑介会長は、「IoTを活用すれば、月1回の訪問で気付かなかったことも気付けるようになる。モニタリングの質、ケアプランの精度も上がる」と指摘。利用者・家族のプライバシーを守るなど適切に運用していく観点から、「ルールをしっかり定めて守ってもらうことが大事」とも述べた。
日本ケアテック協会はこのほか、ケアプランの作成を支援するAIの活用を進めていくことも提唱。これを導入した事業所については、「特定事業所加算」の主任ケアマネの常勤・専従ルールを緩和することなどを求めた。
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