【まとめ】福祉用具貸与・販売の選択制のポイント
具体案はどんな中身?

  2023/11/22

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介護保険の福祉用具を貸与で使うか、それとも販売で使うかを利用者が選べる「選択制−。来年度の介護報酬改定で新たに導入されることが決定した。【Joint編集部】

現場の関係者や専門家でつくる有識者会議で、厚生労働省が昨年から具体的な議論を進めてきた経緯がある。ここでまとめられた選択制の概要案が、今月16日の審議会(社会保障審議会介護給付費分科会)で了承された。

厚労省の説明、これまでに決まっていることなどのポイントをまとめていく。厚労省は選択制の細部の規定を、介護報酬改定の前に通知などで明らかにするとしている。

《趣旨》
 ◯ 福祉用具は貸与期間が長期間になると、貸与価格の累計額が販売価格を上回るケースがある。一部の
  貸与種目・種類は、過去の給付データで確認できる利用実態などをみると、購入した方が自己負担を
  抑えられる利用者の割合が相対的に高い。
 ◯ このため、貸与と販売の選択を可能とすることが合理的。利用者の過度な負担を軽減しつつ、制度の
  持続可能性の確保を図る。


《選択制の対象種目・種類》
 ◯ 利用者が購入の判断を行いやすい比較的廉価な福祉用具のうち、貸与価格の累計額が販売価格を上回る
  ケースも少なくないもの。
 ◯ 具体的には「固定用スロープ」「歩行器」「単点杖」「多点杖」の4つ。これらは可動部がないものが
  多く、利用開始後のメンテナンスの必要性が比較的低いと考えられる。「歩行器」のうち歩行車は、
  「単点杖」のうち松葉杖は除く。
 ◯「固定用スロープ」などは複数個の使用が必要となる場合もある。このため販売の場合には、必要に応じ
  て複数個の支給を認めるよう国から自治体へ周知することとする。福祉用具専門相談員に対しても、その
  必要性を十分に検討するよう求めることとする。



《貸与か販売かを判断する体制・プロセス》
 ◯ 利用者の意思決定に基づき貸与か販売かを選択する。
 ◯ 貸与・販売の選択について検討を行う際は、医師やリハビリテーション専門職ら医療職を含めた多職種
  の意見を反映させるためにサービス担当者会議などを活用するほか、ケアマネジャーが各専門職への
  「照会」で意見を聴く方法も可能とする。
 ◯ ケアマネ、または福祉用具専門相談員は、取得可能な医学的所見に基づき、サービス担当者会議などで
  得られた判断を踏まえ、利用者に貸与か販売かを提案する。


《貸与後のモニタリング》
 ◯ 選択制の対象となる福祉用具を貸与した場合、福祉用具専門相談員は、利用開始から少なくとも6ヵ月
  以内に1度モニタリングを行い、貸与継続の必要性について検討することとする。

 ◯ また福祉用具専門相談員は、モニタリング時に記録する福祉用具の利用状況などを踏まえ、利用開始
  から6ヵ月以降も必要に応じて、貸与継続の必要性について検討することとする。


《販売後の確認・メンテナンス》
 ◯ 選択制の対象となる福祉用具を販売した場合、福祉用具専門相談員は、福祉用具サービス計画の目標の
  達成状況を確認する。また、保証期間を超えた場合であっても、利用者からの要請に応じて、販売した
  福祉用具の使用状況を確認し、必要なら使用方法の指導、修理などを行うよう努める。
 ◯ 福祉用具専門相談員は、利用者に商品不具合時の連絡先の情報を提供する。


厚労省は詳細な制度設計にあたり、ケアマネや福祉用具専門相談員の業務負担にも十分に配慮するとしている。また、現場の混乱を招かないように分かりやすい周知にも努めるとしている。

※当記事は掲載日時点の情報です。

"介護ニュースJoint引用"