《 社保審・介護保険部会|12月7日 》
今後の介護保険制度の改正を議論する国の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)は7日、現行で所得に応じて1割から3割となっている利用者負担の引き上げを議論した。【Joint編集部】
2割負担の対象者を拡大するか否かが焦点。厚生労働省は今回も具体策を提案しなかった。個々の負担能力に応じた負担を求め、将来に向けて制度の安定性や持続可能性を高めていくことの重要さを指摘しつつ、「介護報酬改定の対応とあわせて予算編成過程で検討する」との意向を示した。
担当者は席上、「今回はかなり異例な形。この場で具体的な案をお示しできなかったことを大変申し訳なく思っている。予算編成過程でしっかり検討したい」と述べた。
長期化する物価高騰が1つの要因。高齢者の生活が更に厳しくなり、負担能力の判断の難しさが増した。内閣支持率の低迷を受け、与党内で高齢者の負担増への慎重論が強まったことも背景にあるとみられる。予算編成過程での検討の行方には、今後の政局が影響を与える可能性もある。
この日の審議会でも委員の主張は分かれた。「現役世代の負担増を抑えるためにも利用者負担を引き上げるべき」などの声があがった一方で、「自己負担の引き上げは高齢者のサービスの利用控えを招く」といった反対意見も多かった。結論は年末、政府・与党の判断に委ねられる。
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