《 国際医療福祉大学大学院・石山麗子教授 》
1月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、来年度の介護報酬改定の省令、告示、通知などの改定事項が示されました。これで概ね、“2024年改定”の全容が見えました。あとは、より具体的な取り扱いが示されるQ&Aなどの発出を待つだけとなります。【石山麗子】
多くの方が介護給付費分科会の資料をご覧になると思います。ただあまりに膨大なので、知りたいけれど読むのはちょっと億劫と思われるかもしれません。そういうときに、資料の構成をあらかじめ知っておくと各段に確認しやすくなると思います。
厚労省がホームページに掲載している介護給付費分科会(第239回)の資料のうち、必ず確認したいのは「資料1」と「参考資料1」です。
「資料1.令和6年度介護報酬改定の主な事項について」では、改定の柱とそこに紐づく改定事項の全体を概観することができます。
留意しておくべきことは、「資料1」に全ての改定事項は書かれていないということです。あるサービス種別の全ての改定事項を把握したい場合は、「参考資料1.令和6年度介護報酬改定における改定事項について」が便利です。
「参考資料1」の構成は、前半が改定の施策の柱ごと、後半がサービス種別ごとになっています。サービス種別ごとに確認したいときは、「参考資料1」の後半から該当するサービスを確認するとよいです。あわせて、「全サービス共通(P188)」のページもお忘れなくご覧ください。
今回は、居宅介護支援についてみていきましょう。
介護報酬全体の改定率は+1.59%。基本報酬は次のように、0.93%ほどの引き上げとなりました。介護予防支援費は、事業所が直接指定を受けて行う場合が472単位。委託の場合より30単位高く設定されました。
居宅介護支援の改定事項は、「参考資料1」のP211から212にまとめられています。具体策がどこで説明されているか、ここで全て把握することが可能です。まずはP211から212を見て、そこを起点に確認作業を進めると効率的でしょう。
改定事項を確認するときには、「又は」「及び」などの言葉にも気を付けながらみるとよいでしょう。一例として、居宅介護支援の逓減制の更なる緩和の算定要件をとりあげてみます。「又は」は前後のどちらかを、「及び」は前後の両方を意味します。
例|逓減制の更なる緩和(居宅介護支援費II)の算定要件の見直し
現行:ICT機器の活用、又は事務職員の配置
見直し後:ケアプランデータ連携システムの活用、及び事務職員の配置
膨大な資料を読んでいくときに、目にとまるのは「ICT機器の活用」が「ケアプランデータ連携システムの活用」に入れ替わったことです。ただ、用心深く確認すると、上記の太字部分の「又は」と「及び」も変更されていることが分かります。
つまり改定後は、ケアプランデータ連携システムと事務職員の配置という2つの要件を、両方ともクリアしなければいけません。そうなると、要件がずいぶん変更されたということがはっきり見えてくると思います。
現行の要件であるICT活用でも可能なのかなど、今後、厚労省から発出される解釈通知やQ&Aなども要チェックです。改定内容のより正確で詳しい捉え方は、是非そちらで確認して頂きたいと思います。
※当記事は掲載日時点の情報です。