《 株式会社ねこの手:伊藤亜記代表取締役 》
来年度の介護報酬改定が直前に迫ってまいりました。【伊藤亜記】
法人内研修のために施設などへ伺うと、「まだ報酬改定の内容を聞いていない」というお声も聞かれます。
3年に一度の介護報酬改定は、経営者や管理者、加算などに関わる一部の職員だけが理解すれば良いというものではありません。正職員、非常勤を問わず、全ての職員が正しく理解することが最も望ましいです。
ただ、そうした状況を生み出すためには、個々のやる気とモチベーションを上げる工夫も必要となるでしょう。
研修などの場面で、「職員のやる気とモチベーションを上げる方法」についてよくご質問を頂きます。
人はそれぞれ、仕事の目的・目標が異なります。「ケアマネジャーの資格を取りたい」「相談員業務がしたい」「正社員として働きたい」「沢山働き、給与を増やして家族で海外旅行へ行きたい」。
ひとりひとりの「価値観」や「目標」を面談などで把握し、それに配慮して日頃からアプローチすることが、職員のモチベーションUPにはとても重要です。
人は誰でも「認められたい」「褒められたい」「必要とされたい」「愛されたい」という潜在的な想いがあります。
ただ、日常業務では「認める」「褒める」ことよりも、「指示する」「注意する」ことの方が多くなりがちではないでしょうか。上司、部下、同期などを問わず、「褒める」「認める」機会をもっと増やすことで、やる気や仕事へのエネルギーを生み出すことができるはずです。
もっとも、むやみに褒めても「お世辞」「ご機嫌取り」「誰にでも同じ」と軽く思われ、逆に誤解されてしまうことだってあります。本当に「うれしい!」と感じる褒め言葉は、人それぞれの「価値観」や「優先順位」によって違うということに注意して下さい。
「さすが◯◯さん、◯◯さんだからこそ、ご利用者様も前向きに上手くできたんですね」「◯◯さんがご利用者様や職員さんに褒められると、私も自分のことの様に嬉しいです」「いつも困った時にサポートして頂いて、◯◯さんに感謝しています」
ここでのポイントは、「◯◯さん」という固有名詞を入れることです。褒めている対象、感謝の対象は「あなたです」ということを強調し、そこを限定してアピールするとより効果的になります。「私はあなたを認めています」というメッセージになり、言われた相手も喜びが倍増するでしょう。
人は誰でも、小さなことでも「認められる」「褒められる」「感謝の言葉を言われる」と、素直に「嬉しい→自信がつく→やる気が出る」というプラスの効果が表れます。職員ひとりひとりの心に常に目を向け、相手に自信を与える“上向きなマネジメント”が重要です。
こうした取り組みも忘れずに、全職員の体制で介護報酬改定の対応が適切にできるよう心がけて頂ければ幸いです。
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