《 障害福祉報酬改定検討チーム|2023年10月撮影 》
来年度の障害福祉サービス報酬改定に向けた協議を重ねている有識者会議で10月30日、厚生労働省は障害者虐待を未然に防ぐ手立てを取り上げた。【Joint編集部】
サービス横断的な施策として、求められる適切な取り組みを行っていない施設・事業所に対する報酬上の措置の強化を提案。新たな減算の導入や既存の減算の拡充に踏み切ってはどうかとした。
厚労省は2021年度の報酬改定で、虐待防止に向けた研修の実施、委員会の設置、責任者の配置などを全サービスに要請。これらを翌2022年度から義務化した経緯がある。
今回の会合では、こうした取り組みを未だ行っていない施設・事業所に報酬の減算を適用する案を提示。既存の「身体拘束廃止未実施減算(*)」を参考に各サービスで具体化してはどうかとした。
* 身体拘束廃止未実施減算=5単位/日
◯ 身体拘束を行う場合には、その態様、時間、利用者の状況、緊急やむを得ない理由などを記録する
◯ 身体拘束の適正化の対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果を職員に周知する
◯ 指針を整備して研修を定期的に実施する
などの要件を満たしていない施設・事業所に適用される。
厚労省はあわせて、施設・居住系サービスについて、この「身体拘束廃止未実施減算」を拡充することも提案。こちらは介護保険の同様の減算(10%/日)を参考に具体化してはどうかとした。
このほか、各サービスの運営基準の通知を改め、
◯ 虐待防止委員会や身体拘束適正化委員会の開催にあたり、外部の第3者や専門家の活用に努めること
◯ 施設・事業所の管理者、虐待防止責任者が、都道府県の研修を受講することが望ましいこと
などを書き込む案も示した。今後、現場の関係者の意見も聞きながら更に検討を深めていくとしている。
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